日本超音波医学会 第15回関西地方会 ランチョンセミナ

技術革新! デジタル超音波になって何が変わった


第1会場 12:00〜13:30

座長 森安 史典(京都大学消化器病態講座)


1)デジタル超音波とCoherent Image Formation
入江喬介・坪根 泉
アキュソンニッポン

超音波診断装置の性能で最も重要なのは、画像の良さ(画質)であり、 画質は空間分解能、コントラスト分解能、時間分解能(リアルタイム性)、 および画像の均一性によって評価される。 現在、臨床で使用されている超音波診断装置は、 パルス超音波の反射波の振幅のみを輝度変調して表示する方式であり、 空間分解能を上げるために 走査線密度を上げればリアルタイム性が低下するなど、 これらのパラメータ間に大きな相関関係がある。
現在の超音波のBeam Former方式はパルス超音波をフォーカス、送受信し、 この超音波ビームを走査し、 反射エコーの振幅を輝度変調してモニタに表示するものである。 ビームフォーマーのデジタル化は同時多方向受信を容易にし、 フレームレート(時間分解能)を大きく向上させた。 同時多方向からの受信信号には、 その走査線データ間に空間的連続性をもつことになる。 この考えを基に、反射エコーの位相(Phase)と 振幅(Amplitude)から超音波画像を構築する 「Coherent Image Formation(CIF)法」を実現している。 このCIF法により時間分解能のみではなく 空間、コントラスト分解能を格段に向上させることが出来る。
デジタル超音波のもう一面は、送受信系を自由にコントロール出来ることである。 理想に近いガウシアン送受信超音波を作り出すことにより、 Native Tissue Harmonics Imagingを可能とする。


2)Data Management Subsystem
馬木清隆
アロカ

(はじめに)
近年、超音波診断装置の内部はほとんどがデジタル集積回路で構成されています。 しかしながら、超音波の電気信号を音響出力に変換する部分や テレビブラウン管に超音波画像を表示する部分には わずかにアナログ回路は存在していますので、 正確な意味でのフルデジタルとは呼べないことも事実です。 超音波診断装置をデジタル化する目的は

などが主にあげられます。 今回はその5番目のデジタル画像の出力に関しての特徴を説明いたします。
(DMSとDICOM規格)
アロカのDMS(Data management Subsystem)は超音波診断装置から DICOM規格に適合させたデジタル画像データを出力し、 光磁気ディスクにデジタル記録したり、 院内ネットワークに接続してDICOMサーバやDICOMプリンタに デジタル転送する働きをしています。
DMSは、検査で画像を取り込む際に患者情報などを 再入力し直す様な作業を不要にいたしますので 検査効率を上げることに貢献します。 また、画像は当然デジタル化されていますので 転送やコピー操作を何度繰り返しましても画像劣化しません。 いつでも生データをブラウン管に表示することが出来ます。
上記以外にも"RBGパレットカラー対応"、"オフライン計測"、 "マルチフレーム動画像"、"三次元用データ保存"などの DICOM規格に完全対応していますので、 国内外のDICOM対応プリンター及びサーバ等と高い互換性があります。


3) Digital Ultrasound Imaging: New Developmemts in System Architechture and Data Postprocessing
F.Christoph Simm
Siemens AG and Siemens-Asahi Mediacal Technologies Ltd.)


4)デジタル超音波診断装置による技術革新 高周波イメージング
雨宮慎一
GE横河メディカルシステム

超音波診断装置のビームフォーマがデジタル化されてから、 超音波診断装置は大きく飛躍する事が出来た。 ビームフォーマがデジタル化された事により、開発エンジニアそして先生方の、 装置に対する考え方が一新された事で、 近年の技術革新が進んできたと、考えている。 デジタル化によって、直接影響を及ぼしたのが、超音波の高周波化である。
アナログのビームフォーマでは、 総遅延量が大きいと十分な周波数特性を得る事が極めて困難であった。 リニア専用にビームフォーマを作ると、総遅延3マイクロ秒程度が必要となり、 周波数特性は8〜10MHzが限界で、 セクタを可能にするには総遅延8マイクロ秒程度が必要となり、7〜8MHzが限界です。 デジタルでは、総遅延量による高周波数の制限が無く、 ADC(アナログデジタル変換)のサンプル周波数によって決まります。 ナイキスト理論上は、周波数特性はサンプル周波数の2分の1まで実現できます。
ビームフォーマに要求される量子化遅延時間は、超音波周期の8分の1以下です。 たとえば10MHzのプローブでは、12ナノ秒以下の量子化が必要になります。 現在入手できるADCは50MHz(20ナノ秒)程度ですので、 ADCのサンプル周波数だけでは実現できません。 その為に、ADCのサンプルクロックを微妙に調整する方法、 デジタル化された信号を補間する方法、 または参照周波数の位相を制御する方法等により、 等価的に10ナノ秒以下の遅延制御を行っています。


5)ディジタル超音波診断装置による技術革新
平間 信(株式会社東芝)

近年、超音波診断装置のディジタル化が進み、多数の装置が提供されている。 超音波診断装置では生体から反射・散乱された超音波を 超音波プローブ内の多数の微細振動子で検出し、 その信号にフォーカシングのための遅延をかけて超音波ビームを得ている。 この受信 時のビームフォーミングを行う部分をディジタル化することで、 緻密で高精度なビーム制御が可能となり 均一で分解能の高い画像を得る事が出来る。 特に高精度な遅延が必要とされる高周波での効果が大きい。 また一度ディジタル化された信号には異なる遅延をかける事で 複数のビームを容易に形成する事ができ、 1回の送信で複数本の走査線の画像を得る事により リアルタイム性の良い画像が得られる。 これをカラードプラに用いる事で 心臓の拍出量を自動的に計測する事も可能となる(ACM)。 一方ディジタル化された信号はRF信号であり、 これらに対してディジタル信号処理を行う事が可能となる。 循環器領域で多重等により近距離の画像が覆い隠される場合があるが、 これらのアーチファクトは時間的に変化しないという性質を用いて 複数のRF画像間でディジタル処理を行う事で アーチファクトを取り除き心筋の観察を容易にする事が出来る。 また最近多くの超音波造影剤が開発されてきている。 それらは高調波を発生しやすい性質を持っており、 この性質を用いて高調波のみを受信する事でコントラストを向上させる ハーモニクスイメージングが注目されている。 この高調波のみを検出するために、 不要な基本波成分を取り除くRF信号フィルターも 容易に装置に組み込む事が可能である。


6)デジタル超音波診断装置による技術革新 Fusion ImagingとHarmonics Imaging
木村伸昭
日本ヒューレット・パッカード

心臓用超音波診断装置は,デジタル電子技術とケミカル(化学)技術の革新により, 過去十数年にわたって大きな進歩を遂げてきました。 Mモード画像から2D断層像の観察,パルスドップラによる血流速度の測定, またカラードップラによる血流情報の2次元的な描出など, 臨床における診断に大きな貢献がなされてきました。 この間,基本的な性能である2D断層像の画質の向上もなされ, 超音波診断装置の成長期とも言えました。
90年代に入りますと,それまでに築き上げられた超音波診断装置の基本性能に加え, 新しい超音波を応用したアプリケーションが多く開発されました。 リアルタイムで心臓の左室の容量を計測し, 心機能を定量的に評価できる機能(AQ法)や, 心臓の壁運動を時間的に記録,客観的に表示する機能(CK法)などが開発され, 超音波診断装置は,単なる断層画像の表示,観察,診断装置から, 定量的,客観的な診断ツールとしての役割を果たすようになりました。 この様に超音波診断装置のアプリケーションが広がれば広がるほど 益々重要になってくるのが,基本的な2D断層像の画質の向上です。
HP社では,この様なお客様のニーズにお応えするために, 2D断層像の画質を格段に向上させる新技術である「Fusion Imaging技術」を 開発しました。 この技術では,超音波の周波数を超高帯域で送受信し, 受信した超高帯域の信号を複数の周波数毎に処理し,サブイメージを構築します。 これらのサブイメージをFusion(融合)させることによりノイズが少なく, 心筋内エコーが非常にきめ細かく描出された2D断層像を 得ることが出来るようになりました。 この様に2D断層像の画質が格段に向上することにより, 肥大型心筋症の心室中隔の錯状配列の観察や異常代謝に伴う心筋内沈着物の観察に 威力を発揮します。
一方,最近では,心筋コントラスト剤の開発が進んで来ています。 第2世代のコントラスト剤は,セカンドハーモニクス効果がある為, 経静脈的に心筋コントラスト剤を注入し, 心筋組織性状を観察できないかという試みです。
セカンドハーモニクスモードでコントラスト剤の輝度変化を観察し, AD法を用いて定量化し,心筋の組織性状を観察,診断するリサーチも進んでいます。
今回は,この「Fusion Imaging技術」のご紹介と, 最近話題の「セカンドハーモニクスイメージング」について, お話しさせていただきたいと思います。


7)デジタルで何が変わったか
田辺浩二
日立メディコ(ATL)

概要
ここ数年、超音波の世界にもデジタル化の波が押し寄せており、 記録媒体を始め超音波装置そのものも、 所謂フルデジタル装置がポピュラーなものとなって来た。 デジタル化による主な特徴としては、次のようなものがある。

  1. デジタルビームフォーマー
  2. デジタル記録
  3. 新機能
ここでは造影剤なしの ハーモニックイメージング(Tissue Harmonic Imaging)に関して報告する。